いちごホテルリート投資法人 (3463)

総合スコア: 0.632

主要指標

  • 分配金利回り: 5.8%(業界平均レベル)

  • NAV倍率: 0.80

  • 有利子負債比率: 41.4%

  • 現在株価: 120,300円(2025年4月10日時点)

  • 時価総額: 約390億円

  • 営業収益: 4,607百万円(前期比89.4%増)

  • 当期利益: 2,586百万円(前期比163.1%増)

会社概要と投資戦略

いちご株式会社をスポンサーとするホテル特化型J-REITで、2015年に東京証券取引所に上場しました。「既存不動産に新たな価値を加えて再生させる」という「心築」(しんちく)コンセプトを中核に据えた運用を行い、旗艦物件として「ネストホテル大阪心斎橋」を保有しています。地方都市を中心に地理的に分散したポートフォリオを構築しています。

投資戦略の特徴

  1. 「心築」戦略: 既存不動産の価値を再評価し、リノベーションや運営改善によって資産価値を向上

  2. 地方都市への分散投資: 東京だけでなく地方都市にも積極的に投資し、地域分散によるリスク低減

  3. 多様なホテルタイプ: ビジネスホテルからリゾートホテルまで様々なタイプのホテルに投資

  4. スポンサーシナジー: いちごグループのホテル運営・開発ノウハウを活用

ポートフォリオ分析

ポートフォリオ構成(2025年2月時点)

  • 保有物件数: 29件

  • 客室数: 4,369室

  • 地域分布: 全国主要都市および地方観光地

  • 資産規模: 677億円(業界内では中規模REIT)

ポートフォリオの特徴

  1. 地域分散: 東京だけでなく大阪、京都、札幌など全国各地に分散投資

  2. 多様なホテルタイプ: ビジネスホテル、リゾートホテル、観光型ホテルなど

  3. 築年数の分散: 新築から既存物件のリノベーションまで幅広く保有

  4. オペレーター分散: 複数のホテル運営会社と提携

最新の業績と動向

  • 2025年1月期分配金: 10,125円(過去最高水準)

  • 2025年7月期予想: 分配金3,613円

  • 2026年1月期予想: 分配金3,333円

  • 最近の物件取引: 2025年2月に新規物件取得と既存物件譲渡を完了

  • 投資主優待制度: 宿泊代金割引などの優待制度を導入

市場環境との適合性

  1. インバウンド回復: 2024年に37百万人に達したインバウンド観光客数の増加トレンドの恩恵を享受

  2. 新規供給の制限: 建設コスト高騰による新規ホテル供給制限は既存物件の価値向上に追い風

  3. 地方観光の活性化: リピーター訪日客の地方観光傾向と分散投資戦略が合致

  4. ADR上昇: ホテルの平均客室単価上昇が収益向上に貢献

評価理由

  • 分配金利回りは他のREITと比較して突出して高く、インカムゲイン重視の投資家に最適

  • NAV倍率0.80は資産価値に対して割安感があり、将来的な価格上昇余地も期待できる

  • 「心築」戦略による既存物件の価値向上は、建設コスト高騰による新規供給制限下で優位性を発揮

  • 2025年1月期の分配金が大幅増加(10,125円)しており、業績改善のモメンタムが明確

リスク要因

  • 時価総額が比較的小さく(約399億円)、流動性に制約がある可能性

  • 地方都市中心のポートフォリオは、主要都市と比較して景気変動の影響を受けやすい

  • 金利上昇環境では財務コストが増加する可能性

  • ホテル業界特有の需要変動リスク

成長戦略

  1. 外部成長: 「心築」戦略を活かした割安物件の取得とバリューアップ

  2. 内部成長: 保有物件の運営最適化による収益向上

  3. 財務戦略: 適切なLTV管理と資金調達コストの最適化